前回(2026年7月12日)、当サイトは募集中161制度を全数判定して「ひとり社長が無条件で申請できるのは5.0%」という結果を公開しました(前回レポート)。
あれから16日。都道府県・市区町村が独自に出している制度の収集を本格化させ、母数は206制度(+28.0%)になりました。増えた分の正体は、自治体系の制度61件です。
すると、全体の比率はほとんど動かなかった一方で、「どこにある制度か」の構図が大きく変わりました。
本レポートの数値は2026年7月28日時点のスナップショットです。制度は毎日入れ替わるため、最新値はトップページに自動表示しています。
結果①:地域限定が47.2% → 65.0%へ
対象地域の内訳はこう変わった
募集中制度の全数判定・前回(161件)と今回(206件)の比較
2026年7月12日 161件
全国 85件・52.8%/地域限定 76件・47.2%
2026年7月28日 206件
全国 72件・35.0%/地域限定 134件・65.0%
出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースの全数集計)
地域限定の134件は、35都道府県・11市区町村に散らばっています。内訳は自治体サイトから直接収集した61件と、国の電子申請ポータルjGrantsに自治体が掲載している73件です。
ここで重要なのは、この65%という数字は「自治体制度を足したから増えた」だけではないという点です。前回の時点でも、jGrants掲載分だけで47.2%が地域限定でした。もともと過半に近かったものが、収集範囲を広げたことで実態に近づいた、と読むほうが正確です。
結果②:「無条件でOK」11件のうち、10件は地域限定だった
今回いちばん効いた発見はこれです。
「無条件でひとり社長OK」はどこにあるか
募集中206制度(2026年7月28日時点)
地域限定 134件のうち 10件・7.5%
従業員0人でも無条件で申請できると確認
全国対象 72件のうち 1件・1.4%
従業員0人でも無条件で申請できると確認
出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースの全数集計)
全国対象の制度でひとり社長が無条件に申請できると確認できたのは、206件中わずか1件です。「無条件OK」の11件のうち10件は、どこかの自治体の制度でした。
理由は制度の設計を見ると腑に落ちます。国の全国制度は多くの業種・規模を一度に相手にするため、「常時使用する従業員」「賃上げ」「事業計画の認定」といった追加要件が積み上がります。一方、自治体の制度は対象がその地域の事業者に限られている分、規模や体制の要件を細かく切らないことが多いのです。
つまり「補助金 ひとり社長」で全国のキーワード検索をしている限り、最も申請しやすい制度には構造的にたどり着けません。
結果③:補助上限額の中央値は、地域限定200万円 / 全国4,950万円
金額の規模も、まったく別の世界でした。
補助上限額の中央値
上限額が公表されている134件(ひとり社長が申請可の制度のみ)
全国対象 4,950万円
50件の中央値
地域限定 200万円
84件の中央値
出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースの全数集計)
差は約25倍です。金額だけ見れば全国制度のほうが魅力的に見えますが、ひとり社長にとっては逆です。上限4,950万円の制度は、補助率2/3なら自己負担2,500万円規模の事業を前提にしています。設備1台・ウェブサイト1本・展示会1回といった実際の投資額に対しては、上限200万円の制度のほうが噛み合います。
大型制度が「制度上は申請できても実態は組織向け」であることは前回も指摘しましたが、今回はその裏返しとして身の丈に合う制度が地域限定側に集中していることが数字で確認できました。
結果④:ただし地域限定は「対象外」も3倍多い
いいことばかりではありません。地域限定は当たり外れの振れ幅も大きいのです。
判定結果の内訳を、対象地域で分けると
募集中206制度(2026年7月28日時点)
地域限定 134件
OK 10件・7.5%/条件つき 87件・64.9%/対象外 37件・27.6%
全国対象 72件
OK 1件・1.4%/条件つき 65件・90.3%/対象外 6件・8.3%
出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースの全数集計)
地域限定制度の27.6%はそもそもひとり社長が申請できません(全国対象は8.3%)。商店街振興組合・商工会・協同組合など「団体であること」を要件にする制度、特定の業種や施設に限る制度が自治体側に多いためです。
「地域限定を見ろ」と言われても、4件に1件はハズレを引く。だから1件ずつ公募要領を読んで判定する必要がある——これが当サイトの存在理由そのものです。
全体の比率は、母数が28%増えても動かなかった
構成が変わった一方で、判定の比率はほぼ据え置きでした。
| 2026年7月12日(161件) | 2026年7月28日(206件) | |
|---|---|---|
| 無条件でひとり社長OK | 8件・5.0% | 11件・5.3% |
| 条件つき | 127件・78.9% | 152件・73.8% |
| 対象外 | 26件・16.1% | 43件・20.9% |
| 現実的にひとり社長向き | 94件・58.4% | 127件・61.7% |
| うち補助上限1億円以上の大型 | 33件(条件つきの26.0%) | 24件(条件つきの15.8%) |
母数を28%増やしても「無条件OKは5%前後」「条件を読み解けば6割は土俵に乗る」という結論は動きませんでした。サンプルを広げても再現したという意味で、前回の数字はより確からしくなったと考えています。
大型制度の比率が26.0%→15.8%へ下がったのは、身の丈サイズの自治体制度が母数に加わったためです。
この結果から言える、探し方の修正点
- まず自分の都道府県のページを見る。 全国制度は後でいい。無条件OKの10/11件、そして金額の噛み合う制度はそこにあります(例:東京都/大阪府/福岡県)
- 市区町村レベルまで降りる。 現在11市区町村の制度を確認していますが、実際にはこの何倍もあります。お住まいの自治体の商工課ページは一度見る価値があります
- 「対象外」を見分ける手間は避けられない。 地域限定の4件に1件は団体向け・業種限定です。公募要領の読み方に、どこを読めば5分で判別できるかをまとめています
「中小企業向けと書いてあるのに出せない」現象の中身は中小企業向けなのに出せない理由で、制度の全体像(攻め=補助金・守り=共済・備え=年金・つなぎ=融資)は国の制度 全体マップで整理しています。
調査の概要
- 時点: 2026年7月28日(前回は2026年7月12日)
- 母数: 当サイトが収集・判定し公開している募集中の補助金・助成金206件。内訳はjGrants[国の電子申請ポータル]掲載制度145件、自治体サイトから直接収集した制度52件、東京都中小企業振興公社9件。日本のすべての補助金を網羅するものではありません
- 判定方法: AIによる公募要領の読解+機械照合+敵対的な二重判定+人間による監査・裁定。「ひとり社長OK」は制度上・無条件で申請可能と確認できたもののみ
- 「地域限定」の定義: 対象地域に「全国」を含まない制度
- 「現実的にひとり社長向き」の定義: 無条件OK+(条件つきのうち補助上限1億円未満かつ調査・委託公募でないもの)
- 中央値の母数: 補助上限額が公表されている制度のみ(ひとり社長が申請可の163件中134件)。「上限額は要領参照」とされる制度は除外
- 再現性: 集計は判定データベースからの機械集計です(手作業の分類はありません)
※本レポートは時点スナップショットです。制度は毎日入れ替わるため、最新の件数・一覧はトップページで毎日自動更新されています。前回(2026年7月12日)の数字は第1回レポートに残しています。
本調査の引用について
本レポートの数値・グラフは、出典(「ひとり社長の補助金」調べ・本ページへのリンク)を明記のうえ、自由に引用いただけます。メディア・支援機関の方の問い合わせはお問い合わせからどうぞ。
そのまま使える引用文(コピペ可):
「ひとり社長の補助金」(hitori-hojokin.com)の調査(2026年7月28日時点)によると、募集中の補助金・助成金206制度のうち65.0%(134件)が地域限定の制度だった。従業員0人のひとり社長が無条件で申請できると確認できた11件のうち10件は地域限定で、全国対象の制度では72件中1件にとどまる。補助上限額の中央値も地域限定200万円に対し全国4,950万円と約25倍の開きがあり、ひとり社長の事業規模に合う制度は自治体側に集中していた。