前回(2026年8月7日)、当サイトは募集中286制度を全数判定して「申請の手間が軽い補助金は4.9%だけ」という結果を公開しました。
あれから5日。母数は334制度(+16.8%)になりました。そして今回測ったのは、金額でも手間でもありません。「その制度は、どこに載っているか」です。
補助金を探すとき、多くの人が最初に開くのは国の電子申請システムjGrantsか、その周辺のポータルです。「国のデータベースなのだから、ここを見れば全部ある」——そう思われがちです。当サイトも毎日jGrantsを全件収集しています。
しかし当サイトにはもう一つの収集経路があります。自治体・支援機関のサイトを直接回る経路です。この2つの経路の比率が、この2週間で逆転しました。
結果①:「jGrantsの外」が29.6% → 56.6%になった
募集中制度の収集経路は3時点でこう動いた
全数判定の母数 206件 → 286件 → 334件
2026年7月28日 206件
jGrants経由 145件・70.4%/自治体サイト直接 61件・29.6%
2026年8月7日 286件
jGrants経由 142件・49.7%/自治体サイト直接 144件・50.3%
2026年8月12日 334件
jGrants経由 145件・43.4%/自治体サイト直接 189件・56.6%
出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースの全数集計)
注目してほしいのは、jGrants経由の実数がほぼ動いていないことです(145件 → 142件 → 145件)。国の制度が減ったわけではありません。当サイトが自治体制度の収集網を広げた結果、jGrantsの外にある制度が次々に見つかっている——それがこの逆転の正体です。
つまりこれは「日本の補助金の構成が変わった」という話ではなく、「jGrantsは日本の補助金の全体像ではなかった」という話です。収集を広げるほど「外」が増える。189件という数字は、まだ下限に近いと考えています(収集待ちの自治体制度がこの後も控えています)。
読者にとっての意味はシンプルです。jGrantsだけを見ている限り、この189件には出会えません。
判定の全体像も出しておきます。334制度のうち、無条件でひとり社長OKと確認できたのは22件(6.6%)、条件つきが251件(75.1%)、対象外が61件(18.3%)。条件つきのうち補助上限1億円以上の大型が31件、調査・委託の公募が6件。これらを除いた「現実的にひとり社長向き」は238件(71.3%)でした。地域限定は262件(78.4%)に達しています。
結果②:「無条件で出せる」22件の68%は、自治体の制度だった
ひとり社長にとって本当に重要なのはここです。無条件で申請できる「ひとり社長OK」22件を収集経路で割ると——
| 収集経路 | OK件数 | うち地域限定 | 補助上限の中央値 |
|---|---|---|---|
| 自治体サイト直接 | 15件(68%) | 15件 | 40万円 |
| jGrants経由 | 7件 | 6件 | 1,292.5万円 |
15件(68%)が自治体直接収集、そして22件中21件(95%)が地域限定です。「誰でも無条件で出せる全国の補助金」は、334件の中に1件しかありません。
無条件OKの比率そのものも動いています。7月28日 5.3% → 8月7日 5.6% → 今回 6.6%。自治体制度が増えるほどOK率が上がる——ひとり社長が出せる制度は、国より自治体に多いという構図が、比率の変化としても現れました。
結果③:小さくて出しやすいものは自治体、大きくて重いものは国
収集経路ごとの補助上限の中央値です(上限額が公表されている制度のみ)。
| 収集経路 | 件数 | 全国/地域限定 | 補助上限の中央値 |
|---|---|---|---|
| 自治体サイト直接 | 189件 | 0/189件 | 70万円 |
| jGrants経由 | 145件 | 72/73件 | 750万円 |
中央値で約10倍の開きがあります。これは第2回(地域限定200万円 vs 全国4,950万円)、第3回(手間が軽いのは地域限定に集中)と同じ構図の、収集経路版です。
- 自治体直接の189件: 全件が地域限定。中央値70万円。小さいが、手間が軽く、無条件OKが多い
- jGrants経由の145件: 半分は地域限定(73件)。中央値750万円。大きいが、書類が重く、gBizIDプライムが要る
なおjGrants経由の半分が地域限定である点は補足に値します。jGrantsにも都道府県・市区町村の制度は載ります。それでも自治体サイトを直接回ると、その2.6倍の地域制度が見つかった——多くの自治体は、自前のサイトでしか制度を告知していないということです。
この結果から言える、探し方の修正点
過去3回の結論に、今回の1点を足します。
- jGrantsやミラサポplusだけで探し終えない。 国系ポータルの外に、掲載数ベースで過半数の制度があります。特に「無条件で出せる」制度の68%は外側です
- まず自分の都道府県のページを見る(例:東京都/大阪府/福岡県)。金額(第2回)・手間(第3回)・所在(今回)のすべてで、ひとり社長に噛み合うのは地域側です
- 市区町村レベルまで降りる。 自治体直接収集189件の多くは市区町村の独自制度です
- 自治体の制度は告知が静かで、募集期間が短い。 jGrantsのように一覧で待っていても流れてきません。新着通知か3つの質問の診断で拾うのが現実的です
調査の概要
- 時点: 2026年8月12日(前回は2026年8月7日、前々回は2026年7月28日)
- 母数: 当サイトが収集・判定し公開している募集中の補助金・助成金334件。日本のすべての補助金を網羅するものではありません
- 収集経路の定義: 「jGrants経由」は国の電子申請システムjGrants(デジタル庁)のAPIから毎日全件収集したもの。「自治体サイト直接」はJ-Net21(中小機構)のRSSを起点に一次ソース(自治体・支援機関の公式サイト)を特定して収集したもの177件と東京都中小企業振興公社12件の計189件。同一制度が両経路で見つかった場合は重複裁定で片方を除外済みです
- 56.6%の読み方: この比率は当サイトの収集範囲における構成比です。jGrants側は毎日の全件収集でほぼ網羅、自治体側は拡張途上のため、「jGrantsの外」の実際の比率はこれより大きい可能性が高いと考えています
- 判定方法: AIによる公募要領の読解+機械照合+敵対的な二重判定+人間による監査・裁定。「ひとり社長OK」は制度上・無条件で申請可能と確認できたもののみ
- 中央値の母数: 補助上限額が公表されている制度のみ。「上限額は要領参照」とされる制度は除外
- 再現性: 集計は判定データベースからの機械集計です(手作業の分類はありません)
※本レポートは時点スナップショットです。制度は毎日入れ替わるため、最新の件数・一覧はトップページで毎日自動更新されています。
本調査の引用について
本レポートの数値・グラフは、出典(「ひとり社長の補助金」調べ・本ページへのリンク)を明記のうえ、自由に引用いただけます。メディア・支援機関の方の問い合わせはお問い合わせからどうぞ。
本レポートの更新は日付ではなく、数字が動いたときに行っています。今回は前回(8月7日)から母数+16.8%・無条件OK率+1.0ptの変動を検知して公開しました(発火基準: 母数±15%・地域限定±5pt・無条件OK±1.0pt)。
そのまま使える引用文(コピペ可):
「ひとり社長の補助金」(hitori-hojokin.com)の調査(2026年8月12日時点)によると、同サイトが全数判定する募集中の補助金334制度のうち、国の電子申請システムjGrants経由で収集されたのは145件(43.4%)で、189件(56.6%)は自治体・支援機関のサイトからの直接収集だった。従業員0人のひとり社長が無条件で申請できる22制度に限ると68%が自治体直接収集で、95%は地域限定。補助上限の中央値は自治体直接70万円に対しjGrants経由750万円と約10倍の開きがある。