当サイトは、掲載している補助金を全件「ひとり社長(従業員0人)が申請できるか」で判定しています。その判定データベースを集計した第8回です。

今回いちばん強い結果から書きます。全国どこからでも無条件で申請できる制度は1件しかなく、その1件が来週閉まります。

結果①:無条件OKの比率が、初めて9%を超えた

無条件で「ひとり社長が申請できる」と確認できた制度の比率です。

5.3% → 5.6% → 6.6% → 8.1% → 7.9% → 8.3% → 9.3%
                                    ↑前回   ↑今回

583件中54件(9.3%)。前回(9月9日)は520件中43件で8.3%でした。

ただしこの数字は取れたてです。 54件の掲載時期を割ると、40件が9月9日以前から載っていたもの、7件がその後の2週間、7件が集計当日に入った分でした。増えた14件のうち半分は当日の投入です。次回で戻る可能性があります——前回の記事で「1回の変化で傾向を読まない」と書いたばかりなので、今回も同じ留保を付けます。

結果②:全国から無条件で出せる制度は、5回連続で1件

54件を「全国対象か、地域限定か」で割ります。

件数 割合
地域限定(都道府県・市区町村) 53件 98.1%
全国どこからでも 1件 1.9%

母数が334件だった第4回から、393件・480件・520件、そして583件の今回まで——5回連続で1件のままです。 母数が1.7倍になっても、この数字だけは動きませんでした。

そして今回、その1件が何なのかを書けます。

全国から無条件で出せる、たった1件

募集中583件のうち、全国対象かつ無条件でひとり社長OKと判定できた制度(2026年9月23日時点)

制度名

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(クーリングシェルターの普及に向けた高効率空調導入)

補助上限

1,000万円

締切

2026年9月30日

出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースからの機械集計)

「全国から無条件で出せる補助金」を1件だけ挙げろと言われたら、冷房設備の導入です。 ひとり社長の事業内容と噛み合う制度ではありません。

そして9月30日を過ぎると、同じ条件を満たす制度が新たに現れないかぎり、この数字は1から0になります。 次回のレポートで答え合わせをします。

この結果の読み方は「補助金が無い」ではありません。「全国一律で探すと無い」です。53件は実在していて、全部が地域限定です。探す順番を変えるだけで結果が変わります(この記事の最後に手順をまとめています)。

結果③:国の公式ポータルに載っていない割合が、初めて7割を超えた

収集経路の内訳です。

経路 件数 前回比
自治体サイト直接(J-Net21起点+東京都中小企業振興公社) 402件 +62
jGrants経由 173件 +1
国の独自ポータル 8件 ±0

この2週間で増えた63件のうち、62件が自治体側でした。jGrants経由は1件しか増えていません。

結果、jGrants経由の割合は33.1% → 29.7% と初めて3割を割り、国の公式ポータルを見終えても残る割合は66.9% → 70.3% になりました。

63.1% → 64.6% → 66.9% → 70.3%
                        ↑今回

補助上限の中央値も、経路によって桁が違ったままです。

経路 中央値 上限額が公表されている件数
jGrants経由 1,000万円 148件
東京都中小企業振興公社 1,000万円 10件
国の独自ポータル 350万円 8件
自治体サイト直接(J-Net21起点) 60万円 287件

金額が大きい制度ほど国のポータルにあり、身の丈に合う制度ほど自治体側にあります。 自治体側の中央値は前回の100万円から60万円に下がりました。小さい制度ほど後から見つかる、という方向に動いています。

結果④:母数は63件増えたのに、全国対象は1件減った

見落としやすいので単独で出します。

前回(9月9日) 今回(9月23日)
募集中の合計 520件 583件(+63)
うち全国対象 103件 102件(−1)
うち地域限定 417件(80.2%) 481件(82.5%)

増えた63件は、全部が地域限定です。 全国対象は増えるどころか1件減りました。地域限定の比率は7回連続で上がり続けています(65.0% → 76.2% → 78.4% → 79.6% → 78.8% → 80.2% → 82.5%)。

これは当サイトの収集方針が自治体側に寄っているためでもあります。「日本の補助金の実態が地域限定に寄った」とまでは言えません——言えるのは、探しにいけば地域限定が出てくる、という一方向の事実だけです。

結果⑤:上位3カテゴリは全部減り、4位と5位が同数で並んだ

前回、「順位ではなく件数の差を見てください」と書きました。今回はその実例がまた出ています。

順位 前回(9月9日) 今回(9月23日)
1位 設備整備・IT導入 120件 設備整備・IT導入 119件(−1)
2位 エコ・SDGs 74件 エコ・SDGs 72件(−2)
3位 新たな事業 74件 新たな事業 71件(−3)
4位 まちづくり・地域振興 48件 まちづくり・地域振興 52件(+4)
5位 研究開発・実証事業 46件 研究開発・実証事業 52件(+6)

母数が63件増えているのに、上位3つは全部減っています。 2週間のあいだに締切を迎えて募集終了になった制度が、上位カテゴリに多かったためです。増えているのは4位・5位で、その2つがまた同数(52件対52件)で並びました。

順位表を見るときは差を見てください。ここでも4位と5位のあいだに差はありません。

結果⑥:対象外と委託公募が増えた

判定の全体像です。583制度のうち、無条件OKが54件(9.3%)、条件つきが428件(73.4%)、対象外(ひとり社長は申請不可)が99件(17.0%)。

対象外の比率は15.2% → 17.0% に上がりました。あわせて、「〜の公募」という形式の調査・委託型の公募が8件から14件に増えています。これは経費が戻る補助金ではなく、役務の受託です。当サイトは一覧・検索・詳細には表示しますが、締切通知からは外しています(ひとり社長が申請する類のものではないため)。

条件つき428件のうち、補助上限1億円以上の大型が58件(条件つきの13.6%)。これらと委託公募を除いた「現実的にひとり社長向き」は418件(71.7%)で、比率としては前回(73.7%)から下がりました。件数では383件→418件と増えています。 比率が下がったのは、分母の増え方のほうが速かったためです。

自分の側の数字:掲載できていない164件と、今日見つけた二重掲載

前回に続き、うまくいっていない側も出します。

募集中なのに当サイトが掲載できていない制度は164件です(前回151件)。内訳は「公募要領を読んだが検証を通せなかった」70件、「公募要領そのものを特定できなかった」94件。最大の塊は業務改善助成金の44件で、これは全国1本の交付要綱を47都道府県のレコードが参照する構造のため、制度名と一次文書が一致せず、機械的な再試行では通りません。

これは制度が存在しないという意味ではありません。 当サイトが「一次文書を読めないものは公開しない」という原則で運用している結果です。

あわせて、今日、同じ制度が2件に分かれて掲載されていたのを1件見つけて統合しました(東京都の製品改良/規格適合・認証取得支援事業。国のポータル経由と公社サイト経由で別々に入っていました)。今回の583件はこの統合後の数字です。重複の検出条件に穴があり、「令和8年度」のような年度の接頭辞が付いた側を別物として扱っていたためで、検出側を修正済みです。

この結果から言える、探し方の修正点

過去7回の結論に、今回の結果を足します。

  1. 「全国の補助金」から探さない。 無条件で出せる54件のうち53件が地域限定です。全国から無条件で出せるのは1件で、それも9月30日に閉まります
  2. まず自分の都道府県を見る。(例:東京都/大阪府/福岡県)
  3. 国の公式ポータルだけで探し終えない。 当サイトの掲載でいえば7割(70.3%)はjGrantsに載っていません。しかも自治体側のほうが金額は小さく、ひとり社長には現実的です(中央値60万円)
  4. 月末・月初に見る。 平常時のjGrantsは1日1〜2件しか増えません(第7回で検証済み)
  5. ランキングは順位でなく件数の差を見る。 今回も4位と5位が同数で並びました
  6. 1回の変化で傾向を読まない。 今回の9.3%は、増加分の半分が集計当日の投入です
  7. 有名な制度は制度名で公式サイトを直接引く。 持続化補助金・デジタル化AI導入補助金などは独自ポータル完結です(国の主要補助金14制度に一次ソースをまとめました)

調査の概要

  • 時点: 2026年9月23日(前回は2026年9月9日、前々回は2026年9月2日)
  • 母数: 当サイトが収集・判定し公開している募集中の補助金・助成金583件。日本のすべての補助金を網羅するものではありません
  • 収集経路の内訳: jGrants経由173件/自治体サイト直接402件(J-Net21起点392件+東京都中小企業振興公社10件)/国の独自ポータル8件
  • 「無条件OK」の定義: 制度上、従業員0人のひとり社長・個人事業主が追加の条件なしに申請できると公募要領で確認できたもののみ。実務上のハードル(体制・実績・規模)がある場合は「条件つき」に留めています
  • 「現実的にひとり社長向き」の定義: 無条件OK+条件つきのうち、補助上限1億円以上の大型制度と、調査・委託型の公募を除いたもの
  • 補助上限の中央値: 上限額が公表されている制度のみで算出(jGrants経由148件/J-Net21起点287件/東京都中小企業振興公社10件/国の独自ポータル8件)
  • 「掲載できていない164件」: データベースには存在するが、公募要領を特定・検証できないため公開していないもの。制度が存在しないという意味ではありません
  • 重複の統合: 集計当日に、複数の収集経路から二重に入っていた1件を統合しました。本レポートの583件は統合後の値です
  • 公開後の変更(2026年9月24日追記): 企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は企業が自治体に寄附する制度で補助金ではないため、翌日に通知・集計の対象から外しました。同じ集計をいま回すと「現実的にひとり社長向き」は416件(71.4%)になります(本文の418件は9月23日時点の値です)。無条件OK・母数・地域限定の各数値は変わりません
  • 判定方法: AIによる公募要領の読解+機械照合+敵対的な二重判定+人間による監査・裁定
  • 再現性: 集計は判定データベースからの機械集計です(手作業の分類はありません)

※本レポートは時点スナップショットです。制度は毎日入れ替わるため、最新の件数・一覧はトップページで毎日自動更新されています。

本調査の引用について

本レポートの数値・表は、出典(「ひとり社長の補助金」調べ・本ページへのリンク)を明記のうえ、自由に引用いただけます。メディア・支援機関の方の問い合わせはお問い合わせからどうぞ。

コピペ用の引用文:

全国どこからでも無条件で申請できる補助金は、募集中583制度のうち1件だけだった(「ひとり社長の補助金」調べ・2026年9月23日時点)。無条件で申請できると確認できた54件のうち53件(98.1%)は地域限定である。

本レポートの更新は日付ではなく、数字が動いたときに行っています。今回は前回(9月9日)から無条件OKの比率が1.1pt動いたことを検知して公開しました(発火基準: 母数±15%・地域限定±5pt・無条件OK±1.0pt・カテゴリ上位の入替)。