前回(2026年8月19日)、当サイトは募集中393制度を全数判定して「jGrantsに載る補助金は145件から動かない」と書きました。5週間・5回の測定で149→145→142→145→145件。誤差の範囲しか動いていない、と。
この見立ては、2週間で崩れました。
第6回の測定で、jGrants経由は170件になっています。しかも増え方が異常でした。
結果①:2日間で50件。それまでの1か月分が一度に載った
jGrantsから新しく収集した件数を、日ごとに並べます。
jGrantsの新規登録は、月替わりに集中する
当サイトがjGrantsから新規収集した件数(2026年7月20日〜9月1日)
7月20日〜8月30日 42日間で約90件
1日あたり0〜9件。多くの日は0〜2件
8月31日 25件
前日までの平均の約12倍
9月1日 25件
2日間の合計50件は、直前1か月分に匹敵する
出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(jGrants APIからの日次全件収集の記録)
前回の「動かない」という結論は、観測期間がたまたま端境期に収まっていたために出たものでした。7月28日から8月19日までの4回の測定は、すべてこの細い流れの上にあります。
つまり正しくはこうです。jGrantsは動かないのではなく、平常時はほとんど動かず、月替わりに塊で動く。
月次のスナップショットを取る調査は、測る日が月末か月初かで結論が変わります。前回の記事を読まれた方は、この点を差し引いてください。
結果②:50件のうち36件は、同じ制度の36都道府県版だった
では50件で何が増えたのか。中身を割ると、話が変わります。
| 内訳 | 件数 |
|---|---|
| 業務改善助成金(都道府県労働局版) | 36件 |
| その他(経産省のエネルギー系、東京都、介護系、NEDOの委託公募など) | 14件 |
36件は、すべて同じ制度です。「令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)」が、【北海道】【青森】…と36の都道府県ぶん、別レコードとして登録されています。
読者にとって、これは制度が36個増えたことを意味しません。自分の都道府県の1件だけが該当し、残り35件は無関係です。
ここから言えることは、件数を扱うすべての人に関係します。
jGrantsの「件数」は、制度の数ではありません。 同じ制度が都道府県別・枠別・回次別に分かれて登録されるため、件数は運用の都合で何倍にも膨らみます。「補助金は◯◯件ある」という数字を見たときは、それが制度の数なのかレコードの数なのかを確かめる必要があります。
当サイトの480件も同じ性質を持っています。この記事の数字も、そのつもりで読んでください。
結果③:その50件のうち、当サイトは38件を掲載できていません
自分の側の失敗も出しておきます。
| 件数 | |
|---|---|
| 掲載できた | 12件 |
| 掲載できなかった | 38件(76%) |
掲載できなかった38件の内訳は、業務改善助成金35件とその他3件です。理由は共通していて、公募要領のPDFを機械で特定できなかったためです。
当サイトは「一次文書(公募要領)を読めないものは公開しない」という原則で運用しています。判定の根拠が無いまま「申請できます」と書くわけにいかないからです。その原則が、いま36都道府県ぶんの業務改善助成金を止めています。
つまり結果①で「jGrantsが動いた」と書きましたが、その動きの4分の3は、まだ読者に届いていません。 これは制度側の問題ではなく、当サイトの収集能力の限界です。
結果④:全国から無条件で出せる制度は、3回連続で1件
判定の全体像です。480制度のうち、無条件でひとり社長OKと確認できたのは38件(7.9%)、条件つきが370件(77.1%)、対象外が72件(15.0%)。条件つきのうち補助上限1億円以上の大型が54件、調査・委託の公募が7件です。これらを除いた「現実的にひとり社長向き」は350件(72.9%)、地域限定は378件(78.8%)でした。
無条件OKの38件を収集経路で割ります。
| 収集経路 | OK件数 | うち地域限定 |
|---|---|---|
| 自治体サイト直接 | 29件(76.3%) | 29件 |
| jGrants経由 | 9件(23.7%) | 8件 |
38件中37件(97.4%)が地域限定です。裏返すと、全国どこからでも無条件で出せる制度は1件。
これは母数が334件だった第4回も、393件だった第5回も、480件になった今回も同じ1件です。母数が1.4倍になっても増えませんでした。この数字だけが動きません。
なお無条件OKの比率は、5回連続で上がってきたあと今回はじめて下がりました(5.0% → 5.3% → 5.6% → 6.6% → 8.1% → 7.9%)。9月1日に載った経産省のエネルギー系・委託公募型が条件つき/対象外に入ったためで、傾向が反転したかは次回まで分かりません。
この結果から言える、探し方の修正点
過去5回の結論に、今回の2点を足します。
- 月末・月初に見る。 平常時のjGrantsはほとんど動きません。新しい公募は月替わりに塊で載ります
- 件数の多さに惑わされない。 36件増えても、自分に関係するのは1件です。都道府県で絞ってから数える
- 国の公式ポータルを見終えても、6割以上は残っている(今回64.6%)。jGrantsは「そこを使う公募の一覧」であって日本の補助金の目録ではありません
- 有名な制度は制度名で公式サイトを直接引く。 持続化補助金・デジタル化AI導入補助金などは独自ポータル完結です(国の主要補助金14制度に一次ソースをまとめました)
- 無条件で出せるものを探すなら、まず自分の都道府県(例:東京都/大阪府/福岡県)。38件中37件がそこにあります
調査の概要
- 時点: 2026年9月2日(前回は2026年8月19日、前々回は2026年8月12日)
- 母数: 当サイトが収集・判定し公開している募集中の補助金・助成金480件。日本のすべての補助金を網羅するものではありません
- 収集経路の内訳: jGrants経由170件/自治体サイト直接302件(J-Net21起点290件+東京都中小企業振興公社12件)/国の独自ポータル8件
- 「2日間で50件」の定義: 当サイトがjGrants APIから新規に収集したレコード数です。jGrants側の公開日そのものではありません(当サイトの収集は日次のため最大1日ずれます)
- 「掲載できなかった38件」: subsidiesテーブルには存在するが、公募要領PDFを特定できず判定できないため公開していないもの。制度が存在しないという意味ではありません
- 補助上限の中央値: jGrants経由1,437.7万円(142件)/自治体サイト直接100万円(216件)/国の独自ポータル350万円(8件)。上限額が公表されている制度のみで算出
- 判定方法: AIによる公募要領の読解+機械照合+敵対的な二重判定+人間による監査・裁定。「ひとり社長OK」は制度上・無条件で申請可能と確認できたもののみ
- 再現性: 集計は判定データベースからの機械集計です(手作業の分類はありません)
※本レポートは時点スナップショットです。制度は毎日入れ替わるため、最新の件数・一覧はトップページで毎日自動更新されています。
本調査の引用について
本レポートの数値・グラフは、出典(「ひとり社長の補助金」調べ・本ページへのリンク)を明記のうえ、自由に引用いただけます。メディア・支援機関の方の問い合わせはお問い合わせからどうぞ。
本レポートの更新は日付ではなく、数字が動いたときに行っています。今回は前回(8月19日)から母数+22.1%の変動を検知して公開しました(発火基準: 母数±15%・地域限定±5pt・無条件OK±1.0pt)。