補助金でいちばん痛い誤算は、不採択ではありません。採択されたのに、使った経費が「対象外」で戻ってこないことです。
補助金は「採択されたら好きに使える」お金ではありません。何に使えるかは、公募要領の「補助対象経費」の章で1件ずつ決められています。しかもこの範囲は制度ごとに違います。
当サイトは公募要領をAIで解析して掲載しています。そのデータから、いま募集中で、ひとり社長が申請しうる176制度のうち、対象外経費を明記していた124制度を対象に、「何が対象外とされているか」を集計しました。
対象外になりやすい経費(募集中124制度の集計)
| 対象外になりやすい経費 | 明記していた制度数 | 割合 |
|---|---|---|
| 消費税・仕入税額控除分 | 63件 | 51% |
| 振込手数料・金融費用 | 48件 | 39% |
| 中古品 | 31件 | 25% |
| 汎用パソコン・タブレット等 | 30件 | 24% |
| 人件費(何らかの制限) | 25件 | 20% |
| リース・レンタル料 | 24件 | 19% |
| 飲食・接待費 | 20件 | 16% |
| 建物の取得・不動産 | 17件 | 14% |
| 土地の取得 | 16件 | 13% |
| 公租公課(税金・罰金) | 14件 | 11% |
(2026年7月19日時点。当サイト掲載の募集中制度から機械集計。同じ趣旨でも制度ごとに表現が違うため、キーワードでの分類です。実際の可否は必ず各制度の公募要領をご確認ください)
ひとり社長がとくに誤解しやすい3つ
1. 自分の人件費は、基本的に出ない
これがいちばん大きい誤解です。人件費に制限をかけている制度は25件(20%)ありましたが、その中身を見ると、ひとり社長には厳しい書き方が並びます。
実際に公募要領にあった表現です。
- 「事業に係る自社の人件費」
- 「法人の代表者及び役員の人件費、組合の役員及び組合員の人件費、個人事業主本人及び三親等以内の親族の人件費」
- 「代表者や役員の報酬、人件費」
つまり、ひとり社長が自分で手を動かした分は、多くの制度で補助の対象になりません。従業員がいる会社なら「担当者の人件費」を計上できる場面でも、ひとり社長には計上できる人件費がそもそも無い、という構図になりがちです。
ここから導かれる現実的な戦略は、補助金は「自分の時間」ではなく「外に払うお金」に対して使うということです。外注費・設備費・システム導入費など、実際に他者へ支払った経費が中心になります。「自分でやれば安く済む」は、補助金の文脈では逆に補助額が小さくなる方向に働きます。
2. 汎用パソコン・タブレットは基本的に買えない
30件(24%)が汎用品を除外していました。要領の表現はたとえばこうです。
- 「汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費(例:事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末)」
- 「汎用性のあるパソコンやタブレット等の取得(業務目的のみに使用する場合を除く)」
「補助金でノートPCを買い替えよう」は、多くの制度で通りません。理由は、私用に転用できてしまうからです。逆に言えば、その事業にしか使えない専用の機械・ソフト・設備であれば対象になりやすい、ということでもあります。
3. 消費税は補助の対象外(=計算は税抜)
もっとも多かったのが消費税(63件・51%)です。補助金の世界では、消費税は原則として補助対象になりません。
これは金額計算に直結します。たとえば「補助率1/2・110万円(税込)の設備」を導入した場合、補助の計算対象は税抜100万円なので、戻るのは55万円ではなく50万円です。見積書を見て「半分戻る」と考えていると、消費税10万円ぶんの誤差が出ます。
見落としやすい細かい罠
- 振込手数料(48件・39%) — 経費そのものは対象でも、支払時の手数料は対象外というパターン。金額は小さいですが、実績報告で指摘されます
- 中古品(31件・25%) — 新品限定の制度が多い。コストを抑えようと中古で揃えると、その分が丸ごと対象外になることがあります
- リース・レンタル(24件・19%) — 「購入」を前提にした制度では、リースは対象外になりがちです。リース契約は補助事業期間を超えて続くため、扱いが難しいという事情があります
どこを見れば分かるか
対象経費は、公募要領の中で「補助対象経費」「対象となる経費」といった章にまとまっています。ここには通常、対象になるものと対象にならないものが両方書かれています。読む順番のコツは公募要領の読み方にまとめました。
申請前に確認しておきたいのは、次の3点です。
- やろうとしている支出が、対象経費の区分に入っているか(入っていなければ、その事業では補助金は使えません)
- 税抜で計算しているか(補助額の見積もりがずれます)
- いつからの経費が対象か(多くの制度で、交付決定より前に発注・契約した経費は対象外です)
対象外経費は「全額自腹」になる
最後に、資金繰りの話です。補助金は多くの場合後払い(精算払い)で、いったん全額を自分で立て替えます。そのうえで、対象外と判断された経費は、後から補助されずに自分の負担として残ります。
つまり対象外経費の見落としは、「もらえる額が減る」だけでなく「立て替えたまま返ってこない」という二重の打撃になります。事業計画を立てる段階で、総額のうち補助対象はいくらか/自己負担はいくらかを分けて把握しておくのが安全です。各制度のページには、補助率から自己負担を試算できる簡易計算を用意しています。
この記事について:数値は当サイトが公募要領をAIで解析したデータの集計です(2026年7月19日時点・募集中124制度)。制度ごとに表現や範囲は異なり、集計はキーワードによる分類のため、個別の可否を保証するものではありません。申請の際は必ず各制度の公募要領・事務局の一次情報をご確認ください。当サイトは申請書類の作成代行は行いません。