【調査】掲載730件の83.7%はjGrantsに無い — 全国から無条件で出せる制度は0件

当サイトは、掲載している補助金を全件「ひとり社長(従業員0人)が申請できるか」で判定しています。その判定データベースを集計した第10回です。

先にお断り:今回の増加は、ほとんどが当サイト側の事情です

募集中の制度は、前回(10月16日)の604件から730件に増えました(+126件・+20.9%)。ただし、日本の補助金がこの2週間で2割増えた、という意味ではありません。

件数
前回のあと、締切などで募集中から外れた −75件
前回のあと、新しく掲載した +201件
うち自治体サイト(J-Net21を手がかりに発見) 163件
うち自治体サイト(民間の公開データを手がかりに発見) 30件
うちjGrants経由 8件

当サイトは10月から自治体の制度の取り込みを週2回に増やしました。さらに10月30日には、民間の補助金検索サービスが公開しているデータを手がかりに、北海道の制度をまとめて取り込む試行をしています(詳しくは「自分の側の数字」で)。新しく載った201件の大半は、この2つから来ています。

以下の数字は、この事情を差し引いて読んでください。比率への影響がありうるものには、試行の30件を除いた値も添えます。

結果①:全国から無条件で出せる補助金は、2回続けて0件

無条件で「ひとり社長が申請できる」と確認できた76件を、「全国対象か、地域限定か」で割ります。

件数 割合
地域限定(都道府県・市区町村) 76件 100%
全国どこからでも 0件 0%

全国から無条件で出せる補助金の件数

募集中の制度のうち、全国対象かつ無条件でひとり社長OKと判定できた件数

第4回〜第8回(8月12日〜9月23日)

5回続けて1件

第9回(10月16日)

0件

第10回(10月31日)

0件

出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースからの機械集計)

全国対象の制度は62件ありますが、内訳は条件つき57件・対象外5件で、無条件で出せるものは1件もありません。前回「0件になった」と書いた状態が、半月たっても変わっていないということです。

結果②:無条件OKは76件・10.4%。比率はほぼ横ばい

無条件で「ひとり社長が申請できる」と確認できた制度の比率です。

時点 7/28 8/7 8/12 8/19 9/2 9/9 9/23 10/16(前回) 10/31(今回)
無条件OK 5.3% 5.6% 6.6% 8.1% 7.9% 8.3% 9.3% 10.1% 10.4%

730件中76件(10.4%)。件数は前回の61件から15件増えましたが、母数も増えたので、比率は+0.3ptにとどまりました。

76件のうち、50件は前回より前から掲載していた制度、26件は前回のあとに掲載した制度です(うち北海道の試行から4件)。試行の30件を除いて数えると、700件中72件で10.3%。試行の有無で結論は変わりません。

なお、76件のうち4件は自治体の融資制度です。母数への含め方は「調査の概要」に書いています。

結果③:国の公式ポータルに載っていない割合が、83.7%に上がった

収集経路の内訳です。

経路 件数 前回比
自治体サイト直接 604件 +144
jGrants経由 119件 −16
国の独自ポータル 7件 −2

jGrants経由の割合は22.4% → 16.3% に下がり、国の公式ポータルを見終えても残る割合は77.6% → 83.7% になりました。

時点 8/19 9/2 9/9 9/23 10/16 10/31(今回)
jGrantsに無い 63.1% 64.6% 66.9% 70.3% 77.6% 83.7%

動いた理由は2つあります。ひとつは冒頭のとおり、当サイトが自治体の制度を多く取り込んだこと。もうひとつは、jGrants経由が16件減ったことです。前回のあとに新しく載ったjGrants経由の制度は8件しかなく、締め切られた分を埋めていません。試行の30件を除いて数えても、jGrantsに載っていない割合は83.0%です。

補助上限の中央値です。

経路 中央値 上限額が公表されている件数
jGrants経由 222.5万円 102件
国の独自ポータル 350万円 7件
自治体サイト直接(東京都中小企業振興公社を除く) 70万円 428件
東京都中小企業振興公社 500万円 1件

jGrants経由は前回の300万円から222.5万円に、自治体側は50万円から70万円になりました。自治体側が上がった理由までは切り分けていません(上限額が分かる件数が327件から428件に増えた中での動きです)。それでも自治体側の中央値はjGrants経由の約3分の1で、身の丈に合う制度ほど自治体側にあるという形は変わっていません(東京都中小企業振興公社は1件なので、中央値は読まないでください)。

無条件OKの76件に絞ると、69件(91%)が自治体サイト直接で、補助上限の中央値は95万円です(jGrants経由の7件は150万円)。

結果④:地域限定の比率は91.5%に

前回(10月16日) 今回(10月31日)
募集中の合計 604件 730件(+126)
うち全国対象 75件 62件(−13)
うち地域限定 529件(87.6%) 668件(91.5%)

地域限定の比率の推移です。

時点 7/28 8/7 8/12 8/19 9/2 9/9 9/23 10/16 10/31
地域限定 65.0% 76.2% 78.4% 79.6% 78.8% 80.2% 82.5% 87.6% 91.5%

+3.9ptです。試行の30件を除いても91.1%で、上がった分のほとんどは、10月から週2回にした自治体の取り込みと、全国対象の制度が13件減ったことで説明できます。前回と同じく、これは当サイトの取り込み方の影響を受けた数字で、「日本の補助金の実態が地域限定に寄った」とまでは言えません。

結果⑤:母数は126件増えたのに、カテゴリはほとんど動かなかった

順位 前回(10月16日) 今回(10月31日)
1位 設備整備・IT導入 87件 設備整備・IT導入 89件(+2)
2位 エコ・SDGs 60件 エコ・SDGs 62件(+2)
2位 — 新たな事業 62件(+5。前回は3位の57件)
4位 まちづくり・地域振興 51件 まちづくり・地域振興 50件(−1)
5位 雇用・職場環境 43件 雇用・職場環境 42件(−1)

母数が126件増えたのに、上位5つの増減は合わせて+7件でした。

理由は数え方にあります。目的カテゴリは、目的の分類が付いている294件(母数の40%)だけで数えています。 jGrants経由の制度は119件すべてに分類がありますが、自治体の制度は題名から目的を推定しているため、分類が付いているのは604件中169件です。今回増えたのはほとんどが自治体の制度なので、カテゴリの集計にはあまり入っていません。

これまでの回も同じ数え方でしたが、記事には書いていませんでした。このランキングは、主に国の制度の傾向を映すものとして読んでください。

結果⑥:判定の全体像

730制度のうち、無条件OKが76件(10.4%)、条件つきが523件(71.6%)、対象外(ひとり社長は申請不可)が127件(17.4%)。対象外の比率は18.4% → 17.4% に下がりました。

条件つき523件のうち、補助上限1億円以上の大型は39件(前回40件)。「〜の公募」という形式の調査・委託型の公募は3件(前回8件)です。これらを除いた「現実的にひとり社長向き」は556件(76.2%)で、件数・比率とも前回(445件・73.7%)を上回りました。

前回のあと、この集計に関わる判定の基準は変えていません。

自分の側の数字:当サイトが見つけられているのは一部です

前回に続き、うまくいっていない側も出します。

掲載できていない122件。 募集中なのに当サイトが掲載できていない制度は122件です(前回130件)。内訳は「公募要領を読んだが検証を通せなかった」32件、「公募要領そのものを特定できなかった」90件。業務改善助成金は14件から9件に減りました。これは制度が存在しないという意味ではありません。 一次文書を読めないものは公開しない、という原則で運用している結果です。

見つけられていない制度は、もっと多い。 10月30日の北海道の試行で、それがはっきりしました。民間の補助金検索サービス「サイタくん」(subsidy-support.tech)が公開しているデータを手がかりにすると、北海道の自治体の補助金・助成金のうち、目的(創業・設備・販路・IT)で絞っても323件の候補があり、そのうち317件が当サイトに無いものでした。無作為に50件を取り込んだところ、自治体の一次ソースで確認できた30件を公開でき、北海道の募集中は試行の前の18件から、いまは47件です。同じ条件で絞ると、当サイトに無い候補は全国で約3,600件あります(すべてが掲載できるわけではありません)。

つまり、この記事の730件は「当サイトが見つけて一次ソースで確認できた分」で、自治体の制度のごく一部です。 地域限定の比率やjGrantsに載っていない割合が上がり続けているのは、探しにいくほど自治体の制度が出てくる、ということでもあります。当サイトは11月から、この経路で週50件ずつ取り込みを続けます。

この結果から言える、探し方の修正点

過去9回の結論に、今回の結果を足します。

  1. 「全国の補助金」から探さない。 無条件で出せる76件はすべて地域限定で、全国から無条件で出せる制度は2回続けて0件です
  2. まず自分の都道府県を見る。(例:東京都/大阪府/北海道)
  3. 国の公式ポータルだけで探し終えない。 当サイトの掲載でいえば8割超(83.7%)はjGrantsに載っていません。しかも自治体側のほうが金額は小さく、ひとり社長には現実的です(中央値70万円)
  4. 1つのサイトでも探し終えない。 北海道の試行のとおり、当サイトにも載っていない自治体の制度はたくさんあります。最後は、自分の市区町村と都道府県の公式サイト(商工・産業振興の担当課のページ)を直接見てください
  5. 月末・月初に見る。 平常時のjGrantsは1日1〜2件しか増えません(第7回で検証済み)
  6. ランキングは、何件で数えたかを見る。 今回のカテゴリは730件でなく294件で数えています。順位より件数の差、件数より母数を見てください
  7. 締切の集中する時期を意識する。 9月30日(上半期の末日)に国の制度がまとめて閉まりました。年度末(3月31日)にも同じことが起きると考えられます
  8. 有名な制度は制度名で公式サイトを直接引く。 持続化補助金・デジタル化AI導入補助金などは独自ポータル完結です(国の主要補助金15制度に一次ソースをまとめました)

調査の概要

  • 時点: 2026年10月31日(前回は2026年10月16日、前々回は2026年9月23日)
  • 母数: 当サイトが収集・判定し公開している募集中の補助金・助成金730件。日本のすべての補助金を網羅するものではありません(「自分の側の数字」を参照)
  • 収集経路の内訳: jGrants経由119件/自治体サイト直接604件(J-Net21を手がかりに見つけたもの573件+公開データを手がかりに見つけたもの30件+東京都中小企業振興公社1件)/国の独自ポータル7件
  • 公開データについて: 民間の補助金検索サービス「サイタくん」(subsidy-support.tech)が公開しているデータ(CDLA-Permissive-2.0)を、制度を見つける手がかりにだけ使いました。判定・金額・締切は、すべて自治体の一次ソースから当サイトが作っています
  • 融資制度の扱い: 当サイトは自治体の融資制度(制度融資)も掲載しているため、母数に52件含まれます(題名から判定。条件つき47件・無条件OK 4件・対象外1件)。これまでの回も同じように数えています
  • 「無条件OK」の定義: 制度上、従業員0人のひとり社長・個人事業主が追加の条件なしに申請できると公募要領で確認できたもののみ。実務上のハードル(体制・実績・規模)がある場合は「条件つき」に留めています
  • 「現実的にひとり社長向き」の定義: 無条件OK+条件つきのうち、補助上限1億円以上の大型制度と、調査・委託型の公募を除いたもの
  • 目的カテゴリ: 目的の分類が付いている294件で集計(jGrants経由119件・自治体の制度169件・国の独自ポータル6件)。1件が複数のカテゴリに入ることがあります
  • 補助上限の中央値: 上限額が公表されている制度のみで算出(jGrants経由102件/自治体サイト直接428件/東京都中小企業振興公社1件/国の独自ポータル7件)
  • 「掲載できていない122件」: データベースには存在するが、公募要領を特定・検証できないため公開していないもの。制度が存在しないという意味ではありません
  • 判定方法: AIによる公募要領の読解+機械照合+敵対的な二重判定+人間による監査・裁定
  • 再現性: 集計は判定データベースからの機械集計です(手作業の分類はありません)

※本レポートは時点スナップショットです。制度は毎日入れ替わるため、最新の件数・一覧はトップページで毎日自動更新されています。

本調査の引用について

本レポートの数値・表は、出典(「ひとり社長の補助金」調べ・本ページへのリンク)を明記のうえ、自由に引用いただけます。メディア・支援機関の方の問い合わせはお問い合わせからどうぞ。

コピペ用の引用文:

当サイトが判定している募集中の補助金・助成金730件のうち、国の公式ポータル(jGrants)に載っていないものは83.7%だった。全国どこからでも無条件でひとり社長が申請できる制度は0件で、無条件で申請できる76件はすべて地域限定である(「ひとり社長の補助金」調べ・2026年10月31日時点)。

本レポートの更新は日付ではなく、数字が動いたときに行っています。今回は前回(10月16日)から母数が20.9%動いたことを検知して公開しました(発火基準: 母数±15%・地域限定±5pt・無条件OK±1.0pt・カテゴリ上位の入替)。