【調査】全国どこからでも無条件で出せる補助金が0件になった — 無条件OKは初めて1割を超え、61件すべてが地域限定(2026年10月16日)

当サイトは、掲載している補助金を全件「ひとり社長(従業員0人)が申請できるか」で判定しています。その判定データベースを集計した第9回です。

前回の記事の終わりに、こう書きました。全国どこからでも無条件で出せる制度は1件しかなく、その締切が9月30日なので、同じ条件の制度が新しく現れないかぎり、この数字は1から0になる。今回はその答え合わせから始めます。

結果①:全国から無条件で出せる補助金は、0件になった

無条件で「ひとり社長が申請できる」と確認できた61件を、「全国対象か、地域限定か」で割ります。

件数 割合
地域限定(都道府県・市区町村) 61件 100%
全国どこからでも 0件 0%

全国から無条件で出せる補助金の件数

募集中の制度のうち、全国対象かつ無条件でひとり社長OKと判定できた件数

第4回〜第8回(8月12日〜9月23日)

5回続けて1件

第9回(10月16日)

0件

出典: 「ひとり社長の補助金」調べ(判定データベースからの機械集計)

前回の1件(クーリングシェルター向けの高効率空調の導入を支援する国の制度)は、予定どおり9月30日に締め切られました。その後の3週間に、同じ条件を満たす全国の制度は1件も現れていません。

この結果の読み方は「補助金が無い」ではありません。「全国一律で探すと、無条件で出せるものは無い」です。無条件で出せる61件は実在していて、全部が地域限定です。探す順番を変えれば結果が変わります(この記事の最後に手順をまとめています)。

結果②:無条件OKの比率が、初めて1割を超えた

無条件で「ひとり社長が申請できる」と確認できた制度の比率です。

時点 7/28 8/7 8/12 8/19 9/2 9/9 9/23(前回) 10/16(今回)
無条件OK 5.3% 5.6% 6.6% 8.1% 7.9% 8.3% 9.3% 10.1%

604件中61件(10.1%)。前回(9月23日)は583件中54件で9.3%でした。

前回は「増加分の半分が集計当日の投入なので、次回で戻る可能性がある」と留保を付けました。今回は戻りませんでした。61件の掲載時期を割ると、45件が前回以前から載っていたもの、16件がその後の3週間に入った分で、集計当日の投入は0件です。前回の54件のうち9件は、締切などで募集中から外れています。

結果③:国の公式ポータルに載っていない割合が、77.6%に上がった

収集経路の内訳です。

経路 件数 前回比
自治体サイト直接(J-Net21起点+東京都中小企業振興公社) 460件 +58
jGrants経由 135件 −38
国の独自ポータル 9件 +1

jGrants経由の割合は29.7% → 22.4% に下がり、国の公式ポータルを見終えても残る割合は70.3% → 77.6% になりました。

時点 8/19 9/2 9/9 9/23 10/16(今回)
jGrantsに無い 63.1% 64.6% 66.9% 70.3% 77.6%

今回の動きは、自治体側が増えただけではありません。jGrants経由が38件減っています。 9月30日(上半期の末日)に国の制度の締切が集中し、まとめて募集終了になったためです。

補助上限の中央値も、それに合わせて動きました。

経路 中央値 上限額が公表されている件数
jGrants経由 300万円 116件
国の独自ポータル 350万円 9件
自治体サイト直接(J-Net21起点) 50万円 327件
東京都中小企業振興公社 1,750万円 4件

jGrants経由の中央値は前回の1,000万円から300万円に下がりました。9月30日に締め切られたのが、金額の大きい国の制度に多かったためです。自治体側(J-Net21起点)は60万円から50万円で、身の丈に合う制度ほど自治体側にあるという形は変わっていません(東京都中小企業振興公社は4件しかないので、中央値は読まないでください)。

結果④:母数は21件増えたのに、全国対象は27件減った

前回(9月23日) 今回(10月16日)
募集中の合計 583件 604件(+21)
うち全国対象 102件 75件(−27)
うち地域限定 481件(82.5%) 529件(87.6%)

地域限定の比率の推移です。

時点 7/28 8/7 8/12 8/19 9/2 9/9 9/23 10/16
地域限定 65.0% 76.2% 78.4% 79.6% 78.8% 80.2% 82.5% 87.6%

今回の+5.1ptは、過去8回でいちばん大きな動きです。 理由は2つ重なっています。ひとつは結果③の9月30日の締切集中で、全国対象が減ったこと。もうひとつは、当サイトが10月から自治体の制度の取り込みを週2回に増やしたことです。後者は当サイト側の事情なので、「日本の補助金の実態が地域限定に寄った」とまでは言えません——言えるのは、探しにいけば地域限定が出てくる、という一方向の事実だけです。

前回の記事では、この推移を「7回連続で上がり続けている」と書きましたが、誤りでした。第6回(9月2日)に一度下がっています。お詫びして訂正します。

結果⑤:上位3カテゴリが大きく減り、5位が入れ替わった

順位 前回(9月23日) 今回(10月16日)
1位 設備整備・IT導入 119件 設備整備・IT導入 87件(−32)
2位 エコ・SDGs 72件 エコ・SDGs 60件(−12)
3位 新たな事業 71件 新たな事業 57件(−14)
4位 まちづくり・地域振興 52件 まちづくり・地域振興 51件(−1)
5位 研究開発・実証事業 52件 雇用・職場環境 43件(研究開発・実証事業は38件で6位へ)

母数が21件増えているのに、上位3つは合わせて58件減りました。 これも9月30日の締切集中です。設備投資・脱炭素・新事業の国の制度が、上半期の末日にまとめて閉まりました。

結果⑥:判定の全体像

604制度のうち、無条件OKが61件(10.1%)、条件つきが430件(71.2%)、対象外(ひとり社長は申請不可)が111件(18.4%)。対象外の比率は17.0% → 18.4% に上がりました。

条件つき430件のうち、補助上限1億円以上の大型は40件(前回58件)。「〜の公募」という形式の調査・委託型の公募は8件(前回14件)です。どちらも9月30日に締め切られた分が多く、減りました。これらを除いた「現実的にひとり社長向き」は445件(73.7%)で、件数・比率とも前回(418件・71.7%)を上回りました。

この間に、判定の基準を2つ変えています。比較するときの注意として書いておきます。

  • 9月24日: 企業版ふるさと納税(企業が自治体に寄附する制度で、補助金ではない)を、通知と「現実的にひとり社長向き」の集計から外しました。前回の418件は、この基準で数え直すと416件です
  • 10月12日: 調査・委託型の公募の判定を、「〜の第2回公募」「〜の追加公募」のような回次の付いた書き方にも広げました(それまでは素通りしていました)

自分の側の数字:掲載できていない130件

前回に続き、うまくいっていない側も出します。

募集中なのに当サイトが掲載できていない制度は130件です(前回164件)。内訳は「公募要領を読んだが検証を通せなかった」37件、「公募要領そのものを特定できなかった」93件。前回最大の塊だった業務改善助成金は44件から14件に減りました。こちらも多くが9月30日などに締め切られたためで、検証が通るようになったわけではありません。

これは制度が存在しないという意味ではありません。 当サイトが「一次文書を読めないものは公開しない」という原則で運用している結果です。

この結果から言える、探し方の修正点

過去8回の結論に、今回の結果を足します。

  1. 「全国の補助金」から探さない。 無条件で出せる61件はすべて地域限定で、全国から無条件で出せる制度は0件です
  2. まず自分の都道府県を見る。(例:東京都/大阪府/福岡県)
  3. 国の公式ポータルだけで探し終えない。 当サイトの掲載でいえば8割近く(77.6%)はjGrantsに載っていません。しかも自治体側のほうが金額は小さく、ひとり社長には現実的です(中央値50万円)
  4. 月末・月初に見る。 平常時のjGrantsは1日1〜2件しか増えません(第7回で検証済み)
  5. ランキングは順位でなく件数の差を見る。 今回は上位3つが合わせて58件減り、5位が入れ替わりました
  6. 締切の集中する時期を意識する。 今回の動きの多くは、9月30日(上半期の末日)に国の制度がまとめて閉まったことで説明できます。年度末(3月31日)にも同じことが起きると考えられます
  7. 有名な制度は制度名で公式サイトを直接引く。 持続化補助金・デジタル化AI導入補助金などは独自ポータル完結です(国の主要補助金15制度に一次ソースをまとめました)

調査の概要

  • 時点: 2026年10月16日(前回は2026年9月23日、前々回は2026年9月9日)
  • 母数: 当サイトが収集・判定し公開している募集中の補助金・助成金604件。日本のすべての補助金を網羅するものではありません
  • 収集経路の内訳: jGrants経由135件/自治体サイト直接460件(J-Net21起点456件+東京都中小企業振興公社4件)/国の独自ポータル9件
  • 「無条件OK」の定義: 制度上、従業員0人のひとり社長・個人事業主が追加の条件なしに申請できると公募要領で確認できたもののみ。実務上のハードル(体制・実績・規模)がある場合は「条件つき」に留めています
  • 「現実的にひとり社長向き」の定義: 無条件OK+条件つきのうち、補助上限1億円以上の大型制度と、調査・委託型の公募を除いたもの
  • 補助上限の中央値: 上限額が公表されている制度のみで算出(jGrants経由116件/J-Net21起点327件/東京都中小企業振興公社4件/国の独自ポータル9件)
  • 「掲載できていない130件」: データベースには存在するが、公募要領を特定・検証できないため公開していないもの。制度が存在しないという意味ではありません
  • 判定基準の変更: 9月24日(企業版ふるさと納税を集計から除外)と10月12日(委託型公募の判定に回次の付いた書き方を追加)。詳細は結果⑥
  • 判定方法: AIによる公募要領の読解+機械照合+敵対的な二重判定+人間による監査・裁定
  • 再現性: 集計は判定データベースからの機械集計です(手作業の分類はありません)

※本レポートは時点スナップショットです。制度は毎日入れ替わるため、最新の件数・一覧はトップページで毎日自動更新されています。

本調査の引用について

本レポートの数値・表は、出典(「ひとり社長の補助金」調べ・本ページへのリンク)を明記のうえ、自由に引用いただけます。メディア・支援機関の方の問い合わせはお問い合わせからどうぞ。

コピペ用の引用文:

全国どこからでも無条件で申請できる補助金は、募集中604制度のうち0件だった(「ひとり社長の補助金」調べ・2026年10月16日時点)。無条件で申請できると確認できた61件は、すべて地域限定である。

本レポートの更新は日付ではなく、数字が動いたときに行っています。今回は前回(9月23日)から地域限定の比率が5.1pt動いたことを検知して公開しました(発火基準: 母数±15%・地域限定±5pt・無条件OK±1.0pt・カテゴリ上位の入替)。