セキュリティアクション(SECURITY ACTION)二つ星を1日で宣言した手順 — ひとり社長の実録と2026年4月からの申込方法

デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)を申請するには、IPA(情報処理推進機構)の「SECURITY ACTION」を宣言していることが要件です。

当サイトの運営会社(株式会社shigegegege・従業員0人のひとり法人)は、2026年10月22日に二つ星を宣言しました。GビズIDプライムを持っている状態から、自社診断・基本方針の公開・申込までが1日で終わりました。

この記事は、そのとき実際にやった順番と、ひとり社長が迷うところの記録です。SECURITY ACTION は2026年4月に申込方法が変わっていて、それより前の手順を前提にした解説がまだ多く残っています。

先に結論

  • GビズIDプライムがあれば、二つ星でも1日で宣言できます。費用はかかりませんでした
  • デジタル化・AI導入補助金だけが目的なら、一つ星で足ります(要件は「一つ星または二つ星」)
  • 2026年3月以前に宣言した人は、申し込み直しが必要です。古い自己宣言IDはデジタル化・AI導入補助金に使えません
  • 自社診断の点数に合格ラインはありません。運営会社は100点満点中74点で宣言しました
  • SECURITY ACTION は自己宣言です。IPAの「認定」ではありません

SECURITY ACTION とは — 一つ星と二つ星

中小企業が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する、IPAの制度です。段階は2つあります。

段階 宣言の中身 事前にやること
★ 一つ星 「情報セキュリティ6か条」に取り組む なし(対策を始める前でも申し込める)
★★ 二つ星 自社の状況を診断し、基本方針を定めて公開する 「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」(25項目)の実施と、情報セキュリティ基本方針の外部公開

6か条は、OS・ソフトウェアの更新、ウイルス対策ソフト、パスワードの強化、共有設定の見直し、バックアップ、脅威や手口を知ること、の6つです。古い解説では「5か条」と書かれていることがありますが、いまのIPAの案内は「バックアップを取ろう!」を含む6か条です。

一つ星と二つ星を同時に申し込むことはできません。二つ星の条件がそろっているなら、最初から二つ星で申し込めます。

一次ソース: 「一つ星」を宣言する(IPA) / 「二つ星」を宣言する(IPA)

一つ星と二つ星、どちらにするか

デジタル化・AI導入補助金の要件は「一つ星または二つ星」です。この補助金だけが目的なら、一つ星で申請できます。

二つ星が要るのは、次のような制度を使いたいときです(IPAが確認した範囲の一覧より)。

  • 東京都 サイバーセキュリティ対策促進助成金(東京都中小企業振興公社)— 二つ星の宣言が申請の前提。第3回の受付は2027年1月8日〜15日
  • DX認定(経済産業省)— 中小企業・個人事業主は、二つ星で要件の一部(監査の概要)を代わりにできる
  • 宮崎県の産業DX推進事業費補助金、横須賀商工会議所のセキュリティ支援補助金 など

一つ星と二つ星の差は「自社診断」と「基本方針の公開」だけです。基本方針は取引先に見せられる文書にもなるので、運営会社は二つ星にしました。

一次ソース: デジタル化・AI導入補助金と SECURITY ACTION(IPA) / SECURITY ACTION を要件・加点とする補助金等の一覧(IPA)(IPA自身が「リアルタイムの更新ではない」と注記しています。最新の要件は各制度の公募要領で確かめてください)

手順(運営会社が実際にやった順)

STEP0 GビズIDプライムを用意する

2026年4月1日から、SECURITY ACTION の申込にはGビズID(プライムまたはメンバー)が必須になりました。法人・個人事業主はプライムです。

注意点が1つあります。デジタル化・AI導入補助金に使うなら、補助金の申請に使うのと同じGビズIDで申し込みます。別のGビズIDで宣言したものは使えません。

GビズIDプライムの取り方は gBizIDプライムの取得手順と所要日数 にまとめています。取得に日数がかかる場合があるので、ここが一番の待ち時間になります。

STEP1 自社診断(25項目)をやる

IPAの「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」(中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインの付録3)を使います。25の問いに次の4択で答えます。

回答 点数
実施している 4
一部実施している 2
実施していない 0
わからない −1

満点は100点です。「わからない」は0点より低い−1点なので、分からない設問は調べてから答えるほうが点数は上がります。

点数に合格ラインはありません。二つ星の条件は「自社診断を実施すること」で、申込フォームには点数を入力するだけです。運営会社は74点で宣言しました。ひとり社長が答えにくい設問は、後の節で読み替えをまとめています。

STEP2 情報セキュリティ基本方針を作り、自社サイトで公開する

IPAが配っている「情報セキュリティ基本方針(サンプル)」(同じガイドラインの付録2・Word・1ページ)を書き換えれば足ります。サンプルの項目は5つです。

  1. 経営者の責任
  2. 社内体制の整備
  3. 従業員の取組み
  4. 法令及び契約上の要求事項の遵守
  5. 違反及び事故への対応

サンプルは従業員がいる会社を前提にしているので、ひとり法人では「組織を設置し」「従業員は」の部分をそのまま使えません。運営会社は次のように書き換えました。

  • 責任者は代表取締役本人と書く
  • 「従業員」は「当社の業務に携わるすべての者」とし、外注先にも同じ扱いを求める
  • 実際にやっている対策(更新・多要素認証・暗号化・バックアップ・私物端末の扱い・廃棄・クラウドの選定)を具体的に書く
  • 事故が起きたときの対応と、少なくとも年1回の見直しを書く
  • 問い合わせ窓口を書く

できあがった実例は 株式会社shigegegege の情報セキュリティ基本方針 で公開しています。

公開先は自社サイトのほか、会社案内やパンフレットでもかまいません。

STEP3 SECURITY ACTION 管理システムで申し込む

GビズIDでログインし、次の順に進みます。

  1. 個人情報の取扱いに同意
  2. ロゴマーク使用規約に同意
  3. 事業者情報を入力
  4. 取組内容を選択・入力
  5. 確認して申請

入力する項目は次の節にまとめています。

STEP4 完了メールを受け取る

件名「【SECURITY ACTION】自己宣言の手続完了のお知らせ」のメールが、申請から数分で届きました。メールには自己宣言IDが書かれています。メールが見当たらなくても、管理システムのマイページに自己宣言IDが表示されていれば申込は完了しています。

STEP5 ロゴマークを使う(任意)

ロゴはマイページからすぐにダウンロードできました。2026年3月以前に宣言した人向けの「zipファイルを通知済みのパスワードで解凍する」方式とは違います。使い方はダウンロードに付いてくる使用ガイドラインに従います(色や縦横比の変更などの改変はできません)。

一次ソース: SECURITY ACTION 自己宣言の申込方法(IPA)

申込画面で聞かれること

区分 項目
GビズIDから自動で入る 法人番号・事業者名・代表者・所在地・連絡先
自分で入力する 事業者名のカナ/業種(大分類・中分類)/所属団体の有無/IPAからの情報送付の要否/取組段階(一つ星・二つ星)/宣言の目的(1つだけ選ぶ)/取組の開始時期/自社診断の点数/基本方針の公開時期と公開方法

迷ったのは2か所です。

  • 事業者名のカナ: 国税庁の法人番号公表サイトに登録されているフリガナに合わせると迷いません
  • 基本方針のURL: 入れる欄はありません。公開方法を「自社ウェブサイト/会社案内/パンフレット/その他」から選ぶだけです

公開される情報

宣言した事業者は、IPAのサイトで公表されます。運営会社の申込画面の説明では、法人の場合は事業者名・法人番号・業種・所在地(都道府県・市区町村・町域)・取組段階でした。

自宅を本店にしている法人は、町名までIPAのサイトに載ることになります。ただし法人の本店所在地は、法人番号公表サイトですでに番地まで公開されているので、新しく出る情報はほとんどありません。自宅住所を出したくない場合の考え方は 自宅住所を出さずに登記する(バーチャルオフィス) にまとめています。

ひとり社長の自社診断の読み替え

自社診断は従業員のいる会社を前提に作られているので、ひとり社長には答えにくい設問があります。運営会社は次のように読み替えて答えました。

No. 設問の中身 ひとり社長の読み替え
6 新しい脅威や手口を知り、対策を社内で共有する仕組み 自分が情報を集める仕組み(IPAなどの注意喚起を定期的に読む、など)で答える
16 関係者以外の事務所への立ち入りを制限 バーチャルオフィスなら、実際に作業している場所(自宅など)で答える
17 退社時にノートパソコンなどを施錠保管 同じく、作業場所での保管で答える
20 従業員への教育や注意喚起 自分の学習の仕組みで答える
21 私物端末を業務に使うときの対策を明確にしているか ひとり社長はほぼ該当します。ルールを文書にしていなければ「一部実施」
24 事故に備えた体制・対応手順の作成 ひとり社長は0点になりやすい設問です
25 対策をルール化して従業員に明示 同じく0点になりやすい設問です

No.24とNo.25は、運営会社も0点でした。どちらも基本方針を作る作業で手当てできます。基本方針に「事故のときの対応」と「対策のルール」を自分の言葉で書けば、それがそのまま文書になります。事故時の手順をきちんと作るなら、IPAの「中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き」(同じガイドラインの付録8)が使えます。

2026年3月以前に宣言した人へ — 古い自己宣言IDは使えない

2026年4月に「SECURITY ACTION 管理システム」が始まり、申込方法が変わりました。IPAの案内によると、

  • 第2次公募(2026年5月12日17時以降)から、先頭が「4」で始まる11桁の自己宣言IDは使えません
  • 2026年3月以前の自己宣言は、デジタル化・AI導入補助金の交付申請に使えません。新しい管理システムで申し込み直します
  • 申し込み直すときは、補助金の申請に使うのと同じGビズIDを使います
  • 2026年3月以前の宣言で事業者名や住所を変える場合も申し込み直しになり、自己宣言IDも変わります
  • 2026年4月からは、事務局に問い合わせても自己宣言IDは教えてもらえません

新しい管理システムで宣言した人は、自己宣言IDをマイページで確認できます。

一次ソース: デジタル化・AI導入補助金と SECURITY ACTION(IPA)

「認定」「取得」とは書かない

完了メールには、表記の注意がはっきり書かれていました。

  • ○「二つ星を宣言しました」
  • ×「認定を受けました」
  • ×「取得しました」

SECURITY ACTION はIPAが審査して与えるものではなく、事業者が自ら宣言する制度だからです。自社サイトや名刺に書くときは「宣言」と書きます。

SECURITY ACTION が要件になる補助金(当サイトの掲載)

デジタル化・AI導入補助金がひとり社長に使えるかは、国の主要補助金15制度の仕分け と AI・デジタル導入に補助金は使える? で詳しく書いています。

東京都の助成金は、第2回の募集要項で「都内で実質的に1年以上事業を行っている」「機器は自社が単独で占有する場所に置き、個人宅等には置けない」といった要件があり、ひとり社長には条件が厳しくなりがちです。第3回の募集要項が出たら、ひとり社長が使えるかを確かめて別の記事にします。

よくある質問

SECURITY ACTION の宣言に費用はかかりますか?

かかりません。運営会社も申込に費用は払っていません。IPAのよくある質問でも、ロゴマークは無料で使えると案内されています。

自社診断の点数が低いと、二つ星を宣言できませんか?

宣言できます。二つ星の条件は自社診断を「実施すること」で、点数に合格ラインはありません。運営会社は100点満点中74点で宣言しました。

デジタル化・AI導入補助金には、一つ星と二つ星のどちらが必要ですか?

どちらでも申請できます。IPAの案内では、要件は「一つ星または二つ星のいずれかを宣言していること」です。

宣言に有効期限はありますか?

ありません(IPAのよくある質問)。ただし、2026年3月以前に宣言した人がデジタル化・AI導入補助金に使う場合は、新しい管理システムで申し込み直す必要があります。

自己宣言IDを忘れたらどうすればいいですか?

2026年4月以降に新しい管理システムで宣言した人は、GビズIDでログインしてマイページで確認できます。2026年4月からは、事務局に問い合わせても自己宣言IDは教えてもらえません。

まとめ

  • GビズIDプライムがあれば、二つ星でも1日で宣言できる(費用0円)
  • デジタル化・AI導入補助金だけなら一つ星で足りる。二つ星は東京都の助成金やDX認定などで要る
  • 2026年3月以前の自己宣言は、デジタル化・AI導入補助金に使えない。同じGビズIDで申し込み直す
  • 自社診断に合格ラインはない。「わからない」は−1点なので、調べてから答える
  • ひとり社長が0点になりやすい「事故対応」と「ルール化」は、基本方針を作る作業で手当てできる
  • 書くときは「認定」「取得」でなく「宣言」

申込方法・要件の最新の案内は、必ず一次情報(SECURITY ACTION(IPA))でご確認ください。


本記事は一般的な情報提供を目的としています。手続きの仕様・要件は変更されることがあるため、申請の際は必ずIPA・各補助金の事務局などの一次情報をご確認ください。