会社を作るときに払う登録免許税は、株式会社なら最低15万円です。これが7.5万円になる方法があります。合同会社なら6万円が3万円です。

やることは、市区町村の創業支援を受けて証明書をもらうだけ。費用は無料か数千円のことが多く、25府県ではすべての市町村に用意されています。

それでも、この制度を知らないまま会社を作る人がたくさんいます。登記が終わってからでは取り返せません。

そしてもう一つ。2026年11月5日に受付が始まる小規模事業者持続化補助金<創業型>は、この証明書が申請要件そのものです。補助上限200万円(インボイス特例で250万円)。証明書をもらうには原則4回以上・1か月以上かかるので、受付開始を見てから動くと間に合いません。

この記事は、その制度の中身と、いつ動けばいいかをまとめたものです。

特定創業支援等事業とは何か

産業競争力強化法にもとづいて、市区町村が「創業支援等事業計画」を作り、国の認定を受けます。その計画のなかで、市区町村が商工会・商工会議所・金融機関などと連携して行う創業支援のことを特定創業支援等事業といいます。

中身は創業塾・創業セミナー・個別相談などです。何をもって「特定」とするかは決まっていて、

創業を行おうとする者に対して行う、経営、財務、人材育成、販路開拓に関する知識の全ての習得が見込まれる継続的な支援

とされています。期間と回数の目安は原則4回以上かつ1か月以上です(創業支援等事業計画のガイドラインQ&A集)。

つまり1日のセミナーに出ただけでは足りません。ここが後で効いてきます。

自分の市区町村にあるかを確認する

2026年6月25日現在、認定を受けた創業支援等事業計画は 1,414件・1,580市区町村です。中小企業庁は、宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・富山・石川・福井・山梨・岐阜・三重・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・鳥取・広島・山口・愛媛・福岡・大分の25府県についてはすべての市町村で認定と公表しています。

とはいえ全国の市区町村すべてではありません。自分の市区町村が入っているかは市区町村別の一覧で確認できます。

証明書をもらうと何が変わるか

会社設立時の登録免許税

特定創業支援等事業の証明書がある場合とない場合

株式会社・通常 最低15万円

資本金の額 × 0.7%(15万円に満たないときは15万円)

株式会社・証明書あり 最低7.5万円

資本金の額 × 0.35%(7.5万円に満たないときは7.5万円)

合同会社・通常 最低6万円

資本金の額 × 0.7%(6万円に満たないときは6万円)

合同会社・証明書あり 最低3万円

資本金の額 × 0.35%(3万円に満たないときは3万円)

出典: 中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」

登録免許税のほかにも支援措置があります。

支援措置 内容
登録免許税の軽減 税率が 0.7% → 0.35%(最低額も半分)
日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金で特別利率が使える
信用保証協会の創業関連保証 事業開始6か月前から利用できる(通常は2か月前)
小規模事業者持続化補助金<創業型> 申請要件そのもの(次の章)

信用保証の前倒しは地味に見えますが、法人設立の準備段階で借りられるかどうかは資金繰りに直結します。

持続化補助金<創業型>は、この証明書がないと申請できない

小規模事業者持続化補助金には複数の型があります。そのうち<創業型>は、創業まもない事業者向けの枠です。

第4回の申請要件は、事務局サイトにこう書かれています。

産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が下記期間内であること。

項目 第4回
申請受付 2026年11月5日 〜 12月15日(17時締切)
対象期間 支援を受けた日と開業日の両方が 2025年12月15日〜2026年12月15日
補助上限 200万円(インボイス特例で250万円)
補助率 2/3
事業支援計画書(様式4) 発行の受付締切は原則 2026年12月4日

「支援を受けた日」と「開業日」の両方が過去1年に入っている必要があります。片方だけでは要件を満たしません。

当サイトにも掲載しています → 小規模事業者持続化補助金<創業型>(第4回)

なお、同じ日程で<一般型・通常枠>第20回も受付が始まります(補助上限50万円、各種特例の併用で最大250万円)。一般型に特定創業支援等事業の要件はありません——第4回・第20回それぞれの公募要領を読み比べて確認しました。創業して1年以内で証明書があるなら創業型が視野に入る、という関係です。

いつ動けばいいか

ここが一番大事なところです。

支援は原則4回以上かつ1か月以上かかります。加えて、受講が終わってから証明書が発行されるまでにも時間がかかります(自治体によって数日〜数週間)。

つまり11月5日の受付開始を見てから動き始めると、12月15日の締切には間に合いません

創業型・第4回に申請するなら

逆算した目安(自治体により前後します)

いま〜9月 市区町村に問い合わせ

認定されているか、次の開催はいつか、申込は必要か

9月〜10月 支援を受ける(4回以上・1か月以上)

経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野

10月中 証明書の交付を受ける

申請から発行まで時間がかかる自治体もある

11月5日〜 申請受付開始

様式4の発行受付は原則12月4日まで/申請は12月15日17時まで

出典: 事務局公表の日程と、支援要件(原則4回以上・1か月以上)からの逆算

会社設立の登録免許税だけが目的なら、急ぐ必要はありません。ただし登記より前に証明書がある状態にしてください。設立後に取っても登録免許税は戻りません。

会社設立の流れのどこに入れるか

この制度は、会社設立の流れでいうと「定款を作る前」に置くのが自然です。設立を決めた時点で市区町村に問い合わせておけば、支援を受けている1か月のあいだに商号・目的・資本金を固められます。

資本金の額を決めるときにも効きます。登録免許税は資本金の0.35%(証明書あり)なので、資本金がおよそ2,142万円までなら最低額の7.5万円で収まります(7.5万円 ÷ 0.35% = 21,428,571円)。

よくある質問

個人事業主でも受けられますか?

受けられます。特定創業支援等事業は「創業を行おうとする者」向けで、法人・個人を問いません。ただし登録免許税の軽減は会社設立の登記にかかる税なので、個人事業のままだと使う場面がありません。持続化補助金<創業型>の申請要件としては、個人事業主でも同じように効きます。

すでに会社を作ってしまいました。今から受ける意味はありますか?

登録免許税は戻りませんが、意味はあります。持続化補助金<創業型>は「支援を受けた日」と「開業日(設立年月日)」の両方が受付締切から過去1年以内であることが要件なので、設立後に支援を受けても、両方が期間内に収まっていれば申請できます。日本政策金融公庫の特別利率も設立後に使えます。

費用はいくらかかりますか?

市区町村によって違います。無料のところもあれば、創業塾のテキスト代などで数千円かかるところもあります。証明書の発行手数料は無料の自治体が多いですが、これも自治体ごとの運用です。問い合わせ先の市区町村にご確認ください。

隣の市の創業塾を受けてもいいですか?

証明書を出すのは市区町村なので、どの市区町村の支援を受けたかが問われます。自分の市区町村と別のところで受けた支援が認められるかは、自治体ごとに運用が違います。受ける前に、創業予定地の市区町村へ「他市の創業塾でも証明書を出せるか」を確認してください。順番を逆にすると、受け直しになります。

1日で終わるセミナーを4回受ければいいですか?

回数だけでなく期間の要件があります。原則4回以上かつ1か月以上をかけて実施する継続的な支援であること、そして経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野すべての知識習得が見込まれることが必要です。同じ内容を4回受けても要件を満たしません。複数の支援を組み合わせる場合も、この条件を満たせば認められます。

持続化補助金の<創業型>と<一般型>は、どちらに申請すればいいですか?

要件が違うので、満たせるほうが決まります。創業型は「特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日の両方が過去1年以内」が要件で、証明書が必要書類に入っています。一般型(通常枠)にこの要件はありません。補助上限は創業型が200万円(インボイス特例250万円)、一般型が50万円(各種特例の併用で最大250万円)です。両方の要件を満たす場合にどちらへ出すべきか、重複して申請できるかは、各型の公募要領と事務局でご確認ください。 ここでは確認できていません。

免責と一次ソース

この記事は制度の一般的な解説です。支援の内容・回数・費用・証明書の発行条件は市区町村ごとに異なります。 必ずご自身の市区町村の窓口でご確認ください。補助金の申請可否は個別の事情によって変わります。当サイトは補助金の申請代行・書類作成の代行は行いません。具体的な手続きは、市区町村・商工会・商工会議所・各補助金の事務局、または税理士・行政書士・中小企業診断士などの専門家にご相談ください。