#5の届出が済んだら、次は法人口座です。ここで最初に知っておくべきことがひとつ——法人口座の開設には審査があり、新設法人は普通に落ちます。マネーロンダリング対策で銀行の審査は年々厳しくなっており、「登記したのに口座が作れない」は珍しい話ではありません。

そもそも法人口座は必須なのか

法律上、社長個人の口座で会社のお金を回すこと自体は禁止されていません。しかし実務では法人口座一択です。

  • 取引先からの信用: 請求書の振込先が個人名義だと、取引を断られることすらあります
  • 経理の分離: 法人と個人のお金の混在は、決算・税務調査で最も嫌われるポイント
  • 補助金の受け取り: 法人として申請した補助金の入金先は法人名義口座が求められるのが通常です
  • 法人カード(→ #7)や決済サービスの契約にも法人口座が前提になります

どこで作る? 3タイプ比較

メガバンク 信用金庫 ネット銀行
口座維持・ネットバンキング 月数千円かかることが多い 同様に有料が多い 無料
振込手数料 高め 高め 安い
開設スピード 数週間・来店要のことも 数週間 最短即日〜数日・オンライン完結
会計ソフト連携(API) ◎(自動記帳と相性抜群)
融資・対面相談 ◎(地域密着)
信用の見え方 ○(普及して問題ない水準に)

ひとり社長の1つ目の口座はネット銀行が定石です。固定費ゼロ・開設が速い・会計ソフトとの自動連携で記帳の手間が消える——ひとり経理との相性が圧倒的です。

代表的なのはGMOあおぞらネット銀行(設立直後の法人の開設実績が多く、最短即日)と住信SBIネット銀行(オンライン完結・最短翌営業日、必要書類が少ない)。どちらも口座維持費無料で、1社目の口座として定番です。

手数料の安さと開設スピードで選ぶなら、ラクスルバンク(GMOあおぞらネット銀行と連携した法人向けのネット銀行サービス)も有力な選択肢です。来店不要・最短当日で開設でき、振込手数料は業界最安級。1社目の口座をとにかく早く・安く用意したいひとり社長に向きます。

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GMOあおぞらネット銀行と連携した法人向けサービス。開設条件・手数料・必要書類は提供元でご確認ください。

将来、融資や地域の制度融資を考えるなら、2つ目として地元の信用金庫を検討する価値があります(地域の補助金・制度融資は地域金融機関との関係が効く場面があります)。

審査に通りやすくする準備

新設法人の審査で銀行が見るのは「実在する、まっとうな事業か」です。落ちる理由の多くは「事業の実態が確認できない」こと。

  1. 事業内容が分かるWebサイトを用意する(1ページでも効果大。補助金でHPを作る話はここでも効きます)
  2. 登記事項証明書・定款・代表者の本人確認書類を揃える(#2で取った複数通がここで活躍)
  3. 事業計画や受注済みの契約書・請求書があれば添付できるようにしておく
  4. 申込フォームの事業内容欄は具体的に書く(「コンサルティング」だけ、は最も疑われる書き方)
  5. #4で触れた通り、バーチャルオフィス登記の場合は実態資料を厚めに

1行で落ちても、資料を整えて別の銀行に申し込めば通ることはよくあります。2〜3行に並行で申し込むのも実務ではよくやる手です。

補助金の観点

  • 補助金の入金先は法人名義口座が原則。採択されてから慌てて作ると、入金手続きに間に合わないリスクがあります
  • Jグランツや交付手続きで口座情報の登録を求められます。設立の流れの中で作っておくのが正解
  • 補助金は後払いなので、立替の支払い・入金の受け取りを法人口座に一本化しておくと、実績報告の証憑(振込記録)が綺麗に揃います

まとめ

  • 法人口座は審査があり落ちることもある。「事業の実態」を示す準備が通過率を上げる
  • 1つ目はネット銀行(維持費無料・最短即日・会計連携)。GMOあおぞら・住信SBIが定番
  • 補助金の入金・立替の証憑管理のためにも、設立フローの中で開設まで済ませる

本記事は一般的な情報提供です。口座開設の条件・審査基準・手数料は各金融機関で異なり変更されることがあります。必ず各行の公式情報をご確認ください。