#2で登記が完了し、登記事項証明書と印鑑証明書を手にしたら——ここから届出ラッシュが始まります。しかも意外なことに、一番早い締切は税務署ではなく年金事務所の「5日以内」。この記事は、従業員のいないひとり社長に必要なものだけに絞ったチェックリストです。

全体マップ(期限の早い順)

期限 提出先 書類 ひとり社長の要否
設立から5日以内 年金事務所 健康保険・厚生年金保険 新規適用届+被保険者資格取得届 役員報酬を払うなら必須
自治体による(2週間〜1か月程度) 都道府県税事務所(・市町村) 法人設立届 必須
給与支払い開始から1か月以内 税務署 給与支払事務所等の開設届出書 役員報酬を払うなら必須
なるべく早く 税務署 源泉所得税の納期の特例の承認申請 強く推奨(下記)
設立から2か月以内 税務署 法人設立届出書 必須
設立から3か月以内(目安) 税務署 青色申告の承認申請書 絶対に忘れない
同じく3か月以内 (社内で決定) 役員報酬の決定 実質必須(下記)

※青色申告の正確な期限は「設立から3か月」と「最初の事業年度終了日」のいずれか早い日の前日です。決算期を設立直後に設定した場合は3か月より短くなります。

つまずきやすい3つを解説

① 年金事務所「5日以内」— 最初にして最速の締切

法人は社会保険(健康保険・厚生年金)に強制加入です。従業員ゼロでも、自分に役員報酬を払うひとり社長は加入対象#1で触れた構造)。新規適用届の期限は設立から5日以内日本年金機構)。実務では遅れても受け付けてもらえますが、遡及して保険料が発生するので早めに。

なお「当面は役員報酬ゼロで無報酬」の場合は加入できない(国保・国民年金のまま)という扱いになります。報酬をいつから・いくら払うかとセットで考えましょう。

② 青色申告の承認申請 — 忘れたら初年度の赤字が繰り越せない

法人の青色申告は、欠損金の繰越控除(赤字を翌期以降の黒字と相殺)など特典が大きく、出さない理由がありません。しかし期限を1日でも過ぎると初年度は白色——創業初年度は赤字になりやすいのに、その赤字を繰り越せないのは大打撃です。登記事項証明書を受け取ったその足で税務署に出すくらいの気持ちでどうぞ。

あわせて「源泉所得税の納期の特例」も出しておくと、役員報酬から預かる源泉税の納付が毎月→年2回になり、ひとり経理の手間が激減します(常時10人未満の事業所が対象=ひとり社長は確実に該当)。

③ 役員報酬は「3か月以内に決めて、1年間固定」

法人税の世界では、役員報酬は原則定期同額給与(毎月同額)でないと損金(経費)になりません。そして金額の決定・変更は事業年度開始(設立)から3か月以内が原則。つまり——

  • 設立から3か月以内に「月◯円」と決める(株主総会議事録等で記録を残す)
  • 以後、原則として次の期首まで変更できない(利益が出たから期中に増額、は損金にならない)

いくらに設定するかは利益予測・社会保険料・税率のバランスで変わる税理士の領域です。ここでは「3か月以内・年1回」というルールの存在だけ、絶対に覚えて帰ってください。

ひとり社長に「不要」なもの

  • 労働基準監督署・ハローワークへの届出(労働保険・雇用保険): 従業員を雇ったときに必要になるもので、役員1人だけの会社には不要です
  • 就業規則(従業員10人未満は作成義務なし)

届出が終わったら

  1. 法人口座の開設(→ #6): 登記事項証明書・定款・印鑑証明書はここでも使います
  2. gBizIDプライムの取得: 補助金の電子申請の入口。社会保険手続きの電子申請(e-Gov)にも使えて一石二鳥
  3. 会計の仕組み(→ 会計ソフトの選び方): 期首から記帳を回し始めると決算で泣きません

本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・社会保険の助言ではありません。期限・様式は変更されることがあります。必ず一次情報(国税庁日本年金機構・各都道府県税事務所)と、必要に応じて税理士・社会保険労務士にご確認ください。