前回(#1)で「法人でいく」と決めたら、次は設立手続きです。会社設立は書類仕事の連続に見えますが、やることは6ステップに整理できます。ひとり社長の場合、準備から登記完了までおおむね1〜2週間が目安です。
全体の流れ
- 会社の基本事項を決める
- 印鑑を用意する
- 定款を作る(株式会社は公証人の認証も)
- 資本金を払い込む
- 法務局に登記申請(この申請日が会社設立日)
- 登記完了後の書類を受け取る
ステップ1:基本事項を決める(ここが一番大事)
書類を作る前に、次を決めます。あとから変えると登記変更の費用がかかるものが多いので、最初に少し考える価値があります。
- 商号(会社名): 同一住所での同一商号は不可。読みやすさ・検索されやすさも考慮
- 事業目的: 定款に書いた目的の範囲で事業をします。将来やりそうな事業も広めに入れておくのが定石(許認可が絡む事業は書き方に注意)
- 本店所在地: 自宅にするか、バーチャルオフィス等にするか(→ #4で詳述。登記簿は誰でも見られるため自宅住所の公開に注意)
- 資本金: 1円から設立できますが、初期の運転資金や取引先からの見え方を考えると現実的には数十万円〜が多数派。創業融資や一部の許認可では資本金額が効くこともあります
- 株式会社か合同会社か: 費用と信用のバランス。目安は下表
| 株式会社 | 合同会社 | |
|---|---|---|
| 定款認証 | 必要(公証役場) | 不要 |
| 法定費用の目安 | 約20万円前後〜(認証手数料+登録免許税15万円〜) | 約6万円〜(登録免許税のみ) |
| 対外的な認知 | 高い | 上がってきたが株式会社に劣る場面も |
| 向く人 | BtoBで信用重視 | コスト最優先・BtoC中心 |
ステップ2:印鑑を用意する
登記申請に会社実印(代表者印)が必要です(オンライン申請では印鑑届は任意化されていますが、実務では銀行印・角印とあわせて作っておくのが一般的)。種類と選び方は次回(#3)で詳しくまとめます。
ステップ3:定款を作る
定款は会社のルールブックです。ひな形に沿って、商号・目的・本店・資本金・機関設計などを記載します。
- 株式会社: 作成した定款を公証役場で認証してもらいます(手数料は資本金額に応じて数万円)
- 電子定款にすると収入印紙代4万円が不要になります(紙の定款は印紙税4万円がかかる)。個人で電子定款を作るには電子署名の環境が必要なため、無料の設立書類作成サービスや専門家経由で電子定款にするのが実務では一般的です
その無料の設立書類作成サービスの定番がマネーフォワード クラウド会社設立です。画面の質問に答えていくと、定款を含む設立書類一式を無料で作成でき、電子定款にも対応しています(=紙の印紙代4万円を節約できます)。合同会社・株式会社のどちらでも使えます。
ステップ4:資本金を払い込む
まだ会社の口座はないので、発起人(あなた)個人の銀行口座に資本金を振り込み、通帳のコピー等で「払込を証する書面」を作ります。
ステップ5:法務局に登記申請
登記申請書・定款・払込証明・印鑑届出書などを揃えて、本店所在地を管轄する法務局に申請します(窓口・郵送・オンライン)。
- 申請した日が会社の設立日になります。設立日にこだわりがあるなら申請日を調整(法務局が閉まる土日祝は設立日にできません)
- 審査は通常数日〜1週間程度。不備があれば補正の連絡が来ます
ステップ6:登記完了後にやること
登記が完了したら、登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書(印鑑カード)を取得します。この2つは、この後の税務署への届出・法人口座の開設(#6)・gBizIDプライムの取得などあらゆる場面で使うので、複数通まとめて取っておくと二度手間になりません。
設立後には税務署・都道府県・年金事務所への届出ラッシュが待っています。ここは #5「設立後の手続きチェックリスト」で整理します。
ひとり社長がつまずきやすいポイント
- 自宅住所をそのまま登記して後悔(登記簿は公開情報。→#4)
- 事業目的が狭すぎて追加変更に登録免許税3万円
- 決算期を深く考えずに設立(初年度の消費税や繁忙期との重なりに影響。迷ったら税理士へ)
- 紙定款で印紙代4万円を払ってしまう(電子定款なら不要)
まとめ
- 会社設立は6ステップ・1〜2週間・合同会社なら約6万円〜/株式会社なら約20万円前後〜
- 最初の「決めごと」(商号・目的・本店・資本金・決算期)が一番大事。あとから変えると費用がかかる
- 登記完了したら証明書類を複数通確保 → 届出・口座・gBizIDへ進む
本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務の助言ではありません。費用・手続きは変更されることがあります。必ず一次情報(法務局・日本公証人連合会・国税庁)と、必要に応じて司法書士・税理士等の専門家にご確認ください。