#6 口座と#7 カードが揃ったら、経理の仕組みを組み立てます。先に結論——ひとり社長の経理は根性ではなく配管です。お金の通り道を最初に固定してしまえば、月の作業は15分で回ります。
配管図:お金の通り道を3本に固定する
売上 ──→ 法人口座 ──→ 会計ソフトに自動取込
経費 ──→ 法人カード ──→ 会計ソフトに自動取込
現金払い(極力なくす)──→ レシートをその場でアプリ撮影
ポイントはひとつだけ:すべての取引を「口座かカード」を通すこと。#7で書いた通り、私費との混在が仕分け地獄の原因です。現金払いは撲滅するほど経理が消えます。
クラウド会計に「期首から」つなぐ
会計ソフトの選び方で書いた通り、口座・カードを連携すれば記帳の大半は自動化されます。大事なのは期首(設立直後)から連携しておくこと。決算前にまとめて1年分、が最悪のパターンです。
- 個人事業主でいく人(#1の分岐で個人を選んだ人)は、確定申告まで一気通貫の定番があります:
- 法人(マイクロ法人)の人は、同じ各社の法人向けライン(弥生会計 Next・マネーフォワード クラウド会計・freee会計など)から選びます。操作感は個人向けと地続きなので、比較の考え方は会計ソフトの記事を参照してください
月次15分のルーティン
- 未仕訳の消化(10分): 自動取込された明細に勘定科目を付ける(2か月目からはAIの推測がほぼ当たるので実質確認だけ)
- 請求書の発行・入金確認(5分)
- 現金レシートがあればアプリで撮影
これだけです。「毎月第1営業日の朝にやる」と決めて予定に入れるのが続けるコツです。
領収書の保存 — 最低限のルール
- 紙のレシート: スキャン保存(スマホ撮影)の要件を満たせば原本破棄も可能ですが、迷うなら「月別の封筒に放り込む」だけでも法定保存は満たせます
- メールやWebで受け取った請求書・領収書(電子取引): 電子データのまま保存が義務です(電子帳簿保存法)。会計ソフトのボックスに放り込むか、専用フォルダに「日付_金額_相手先」で保存するルールを決めておきましょう
- 保存期間は法人で原則7年(欠損金がある事業年度は10年)
決算は自力か、税理士か
個人の確定申告はソフトで自走できますが、法人の決算・法人税申告は難易度が一段上です(別表の作成など)。実務では:
- 税理士に決算だけ依頼(年一決算・目安10〜20万円前後)が、ひとり社長の多数派
- 日々の記帳は自分(上の仕組みで15分)+決算と役員報酬の相談だけプロへ、が費用対効果のバランス点
- #5で触れた役員報酬の設定や節税の相談相手としても、決算前だけでも税理士との接点を持つ価値があります
補助金の観点
経理の配管がきれいだと、補助金の実績報告が圧倒的に楽になります。対象経費の支払いが法人口座・カードに揃っていれば、証憑(振込記録・明細)の収集は検索するだけ。実績報告で困らない会計の話はまさにこの配管の話です。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・会計の助言ではありません。保存要件・申告実務は国税庁の一次情報と税理士にご確認ください。